神の王である伊勢におはします猿田彦大神は、地上の人に幸福な人生を送らせるために、3つの道をみちひらき(啓行)・導いてくださいます神様であります。
まず、人間の幸福として最も根本的な「寿」です。健康に恵まれ命長く、無病息災に天寿を全うすることは誰しも願うことであり、天が生命を我々人間に与え、この地上で生きることを許されたのですから、我々はこの天から授かった生命を、各人の生涯の最後の一瞬まで支障なく、平らけく安らけく、健やかに生き抜くべしと、「寿徳」をすでに与えられているのですから、その寿徳を自ら穢すことなく全うする道を歩まなければなりません。
また同時に、人がこの地上で生活していく上で必要な環境を作り出す道・はたらきがあります。それは、衣食住財などの恵みを受ける道、「福徳」への道を開いていただかなくてはなりません。
この寿徳と福徳を得るには、「一二三四五六七八九十百千萬」と、生きる働きである生成化育の宇宙の法則・実相の真理と同調し発動・発現していくには、人としての明心(あかきこころ)の努力がなくてはなりません。
猿田彦大神は「寿徳」・「福徳」への道を、明(あか)く、強く、直き、正しき大道に導き誘い下さるのですから、常に明心(清心・誠心)を保ちつつ、天から賜わった尊い魂を穢すことなく天命を全うしなければなりませんね。
伊勢の猿田彦神社で、神の王である猿田彦大神の御縁を頂いて後、我欲が先行した「みちひらき」ではなく、先ずは、祈願の第一には、人としての啓行(みちひらき)を祈願すべきでしたと、 今更ながら深く思う次第です。
毎朝、明治天皇御製と昭憲皇太后御歌を拝誦させていただくたびに、明心(あかきこころ)の至らなさを反省し、明日こそなろう!と自らを励ます日々であります。(アスナロ)
明治天皇御製
「道」 ならびゆく人にはよしやおくるとも ただしきみちをふみなたがえそ
(口語訳:大勢の人達と並んで進む人生で、たとえ人より遅れるようなことがあろうとも、決して正しい道を踏み外すようなことがあってはならない。)M43
「道」 遠くとも人のゆくべき道ゆかば 危き事はあらじとぞ思ふ
(口語訳:人生の行路を行く者は、たとえその道が遠くても、人として進むべき正しい道を歩いてゆくならば、危険なことは決してないと思う)M37
「行」 やすくしてなし得がたきは世の中の 人のひとたるおこなひにして
(口語訳:たやすいはずのことでありながら、なかなか実行できないのは、この世の中の人としての道にかなった行いというものである。)(M40)
「をりにふれて」 思うこ事いふこと道にあたりなば 神のこころもうごかざらめや
(口語訳:思うこと言うことが人としての道理にかなっているならば、神の御心も決して動かないはずはありません。)(M12以前)
「勇」 人よりもすすみて道をふむ人は はづる心やしをりなるらむ
(口語訳:人に先駆けて道を進む人は、常に自分の心を反省することが、正しい道を踏みちがえない指針となってくれるでしょう。)(M22)
「述懐」 人のため身のためものをおもふこそ うつせみの世のならひなりけれ
(口語訳:世の人のため、わが身のために心をつくしてさまざまに、思い巡らすことこそ、この世に生きる人のもつべき心のありようというものです。)(M32)