我々日本人は、すべて神々の後裔(こうえい)であり、誰しもが神々の血肉を受け継いで来ているばかりでなく、一霊、四魂も又同じように神々より分け与えられているのです。
このことを「直霊(なほひ)」といい、「真心(まごころ)」ともいうのですが、不幸にして我々人間は、複雑な日常生活の便利、安易、享楽、流行などの影響を受けて、本来は明浄である霊魂に、思わぬ汚染を被ることも日常的に起こります。
この種の汚染の事を「ツミ」または「ケガレ」といいます。「ツミ」とは、「ツツム」の意味で、すべてのものを隠蔽するところから起こったなです。
また、「ケガレ」ほ「木枯(きがれ)」「気枯(きがれ)」「怪我(けが)」などと共通の意味を有する言葉で、生々の気を阻害するものをいいます。
人心も又、日常の煩雑な生活に追われている間に、知らず知らずその真心の表側に「ツミ」「ケガレ」の汚染を受けて、本来は明浄、神明と変わらない立派な魂を、暗澹(あんたん)たる曇り多きものとしてしまうことが多いのです。
だからこそ我々は、常に何らかの方法によって、この真心(まごころ)の面を覆う塵埃(じんあい)を払拭し、これを排除することに努めなければなりません。
我が国では、神代依頼、禊(みそぎ)又は祓(はらひ)という清めの式があって、人々の心身の罪穢を祓い清める習慣となっています。
(「分かり易い神社の話」中島清光著より)