常識的なことですが、三輪神社の創祀に関わる『古事記』の伝承によれば、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が出雲の大国主神(おおくにぬしのかみ)の前に現れ、国造りを成就させる為に「吾をば倭の青垣、東の山の上にいつきまつれ」と三輪山に祀られることを望んだとあります。
また、『日本書記』でも同様の伝承が語られ、二神の問答で大物主大神は大国主神の「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」であると名乗られたとあります。
この伝承では大物主大神は大国主神の別の御魂として顕現され、三輪山に鎮まられたということです。
この様に記紀の神話に創祀の伝承が明瞭に記されていることは貴重なことで、大神神社が神代に始まった古社中の古社と認識されており、ご祭神の神格が如何に高かったかを物語っています。
そして、ご祭神がお山に鎮まるために、当社は古来本殿を設けずに直接に三輪山に祈りを捧げるという、神社の社殿が成立する以前の原初の神祀りの様を今に伝えており、その祭祀の姿ゆえに我が国最古の神社に参拝できることは、自分とは何者かを再確認する上で大事な参拝です。
これも常識ですが、ご祭神である大物主大神は、国造りの神様として、農業、工業、商業すべての産業開発、 方除(ほうよけ)、治病、造酒、製薬、禁厭(まじない)、交通、航海、縁結びなど世の中の幸福を増し進めることを計られた人間生活の守護神として尊崇されています。
そして、崇神天皇の御代に大流行した疫病をご祭神が鎮めたこと、杜氏の高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)がご祭神の神助で美酒を醸したことから、医薬の神様や酒造りの神様として広く信仰をあつめておられます。
また、ご祭神の御名、「大いなる物の主」はすべての精霊(もの)をつかさどられる・統べられるという意味をあらわし、災をなす精霊(もの)をも鎮め給う霊威から厄除け・方位除けの神様としても厚く敬われています。
2月11日(土)は神武天皇が即位した「紀元節」の日でありますので、拝殿では「建国記念の日」として、これを祝う祭典が行われていました。朝日も祝福されているように虹の光が映り込みました。